「あ、ご飯の話してたの? その土地によって色んなご飯があるのって良いよねぇ…。 留学の楽しかったことの一つは間違いなくそれだもん。 他にも色々あったけど……でもやっぱりあんなに何かと戦ったり命のギリギリの所で生きてたのは初めてだったから、シルヴァンの思い出だと楽しい出来事よりそれが思い出しちゃうかも。 2人共、本当にお疲れ様。 …今だから言えるけど、本当に皆で無事に帰ってこれて良かったね」
ちょっと遠い目をしながらも瞳を細めて、しばしの間、思い出に浸ったりもしつつ。 メルがバレッタを髪に付けるのをにこにこしながら見守って、軽く拍手も送るのだった。
「かわいいかわいいっ!! フユちゃも似合うよ、思い切って普段は買わないようなかわいいのにして良かった〜!」
にっこにっこと上機嫌でチョコドーナッツをぱくりと頬張る。 そんなご満悦な状態のまま、二人の話を静かに聞いて、うんうんと頷いていた。
「私も訳が分からずにひたすら皆について行っただけだからなぁ。 喜んでくれる人もいる反面、助けられなかった人達もいたから……ちょっと複雑だけどね。 でも誰もかれもを助けられる程の力がなかったのも事実だし、これからはそれも踏まえてもっともっと勉強していきたいな」
英雄、の言葉にはむず痒そうに肩をすくめて、苦笑いを浮かべていた。
「えへへ、こちらこそっ! 2人がいなかったら怖くてまともに立ってられなかったと思うもん」
そう言うと、まだまだ温かいココアをずずーっと、豪快に飲みだした。 |