扉を空けた先には見慣れた空間が広がっていた。 気慣れた制服に知ったカフェなのに、なんだか不思議な違和感を覚えて首を傾げる。 極め付けは窓の外に広がる宇宙のような謎空間。それを見て、うん、とひとつ頷きを刻む。
「わかった、これは夢! 小次郎さん、ジンジャーエールくださーい。」
おっけー把握!と、まさに夢の勢いで状況に納得したついでに注文も入れた。 軽い足取りで窓際の席へ向かい、腰を下ろす。
少し離れた場所で会話をしている人たちの姿を遠巻きに眺めているうちに、自然と楽しそうな表情を浮かべていた。 学園生活で言葉を交わしたことのある人たち、過去の依頼の資料で見かけたことがある気がする名前で呼ばれる人たち。
「あのね。なんだかすっごく懐かしい感じ。 わたし、ここでいろんな人がお喋りしてるの好きだったんだー」 飲み物を届けてくれた小次郎さんにそんなことをこっそり耳打ちして、に、と笑う。 会話の内容までは聞こえずとも、その話し声をお茶菓子代わりにするみたいに、まったりとした時間を堪能していた女生徒の姿がひとつあったらしい。 |